夜に集まるオンラインゲームの待ち合せ時間を、必死になって確認する子どもたち。
子どもたちの遊びの中心だった放課後という時間はどんどん短くなり、宿題の山が追い打ちをかけます。さらにここ遊佐町では、地域に遊べる友達も少なく、あるいは全くいない子も珍しくありません。子どもたちが顔をあわせて遊べる環境は激減してしまいました。
子どもは、いつもいつの時代も、遊びを求めています。時間と空間のすき間を見つけ、夜のネットゲーム上に集まる子どもたち。今急速に、子どもたちの遊び場はネット上の仮想空間へと変わってきています。
けれどもこの仮想空間では、指のすき間を流れすぎる川の水の感触も、手のひらで動きまわる小さな生き物の感触も、走り回った後の息切れも、味わうことは出来ません。体感を伴う実体験に欠けています。実体験の貧困は生きる実感、自尊感情を乏しくさせてしまいます。
また、ゲームの中では、自分で考えた突拍子もないアイデアを試したり、新しくゲーム世界を創り変えることは出来ません。大人の管理を逃れ、たどり着いたゲームの世界でも、子どもたちは大人の用意した選択肢の中にしか自由がないのです。自由の貧困は、常に受け身で、責任感や主体性、創造力を乏しくさせてしまいます。
今、子どもたちは自分の願いを、大人社会の価値観や都合によって管理され、制限され、選別されています。それが子どものためになるというのなら、こんなにも子どもがストレスをため、苛立ち、きつい言葉をまき散らすこともないでしょう。そしてそのフラストレーションが弱いものに向かうことも。
子どものウェルビーイング(心の幸福度)が先進国38か国の中でワースト2位となってしまった日本。もうこれ以上子どもを大人の価値観や都合で追い詰めるのではなく、子どものやりたいことが制限なく存分に出来る場所と、疲れた子にはホッと休める場所を創っていきたい。
今こそ、大人が捉える子ども像のパラダイム転換が迫られる時、子どもたちが 「今が楽しく、幸せ!」 な時をつくり、増やす時です。